五輪2020の東京招致が成功した要因の一つに、女性の配置の妙がありました。パラリンピック選手の佐藤真海さん、そして滝川クリステルさんと、女性陣による心揺さぶられるプレゼンテーションの賜物で招致成功を導いたように感じます。
一方でインターネットが普及するなか、リアルとネットを融合して、いかに消費者へ旅の価値を提供していくか、新たな価値の創造が求められています。
2014年は海外渡航自由化50年の節目の年です。半世紀前は、どのような価値観を持っていたかを振り返り、過去と現在、そして未来を一つのセットにして、新たな需要の創出をすべきです。
ものづくりの会社は、リーマンショックなどの荒波を乗り越えて、切磋琢磨して進化を遂げました。しかしサービス財の分野では、便利さの追求に終始した感がします。成長と発展における概念を、ただすときに来ていると感じています。ツーリズム産業の成長と発展のために私たちが果たすべき役割は、「縦軸の機能を、横軸で切る」ことです。すなわちダイバーシティ、多様性をもって考えるべきときにきています。
わが国における観光受容度は世界で74位(※)と低く、政府ですら観光への認識が浅いのが現状です。また、日本の人たちは「観光地は温泉地」というイメージをもっていますが、海外では一般に観光客の多くは大都市に集まります。日本では、特に都市観光が遅れています。2020年に向け、開催地東京のバリアフリー化が進むことにも期待を寄せています。
次に企業の役割ですが、CSR(企業の社会的責任)からCSV(社会性を求めながら事業性を求める)の時代へと変化しています。非営利であるNPO法人でさえも今世、収益性が話題になるほど。収益性を上げていくことが、旅行業の在るべき姿だと思っています。
※WEF世界経済フォーラムが毎年発表する観光競争力ランキング(通称、ダボス会議)。2013年、日本の観光における開放度、外国人訪
問者数の対人口比などを指数化した「観光との親和性」、すなわち国民の観光受容度は、世界74位と低位置にある。
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