著者：カミーユ・ゴルジェ　ピエール=イヴ・ドンゼ　クロード・ハウザー
訳者：鈴木光子
出版社：大阪大学出版会（参考価格7,700円）

日本が誇る洗練された別荘地・軽井沢。先の大戦をくぐり抜け、今もなお、穏やかでかつ優美な雰囲気を醸すのは、空爆回避懇願電報を打った永世中立国スイスが関係していたかもしれない。
第二次世界大戦中に駐日スイス公使として日本に駐在したカミーユ・ゴルジェ。外交官であり、また文筆家でもあったカミーユ・ゴルジェは、執務の傍ら戦禍で変わりゆく日本の姿を克明に日記に書き留めた。
政府間交渉や上流階級層との交際、差別や暴力、駐日スイスコミュニティの情況、東京空爆や広島・長崎の原爆投下など、1940年1月から1945年12月までの激動の日々を記したもので、原文はフランス語で書かれたものである。日本を愛した公使の心の機微までも丁寧に綴った完全日本語翻訳版で、訳は鈴木光子氏によるもの。スイス外交の役割についても触れることができる。　（文責：淑徳大学　教授　千葉千枝子）

   

 スイス大使公邸（東京・港区）での出版記念レセプションにて